(2017/10/10 04:23:57)
煙草の煙で壁紙が黄ばんでいく。退去費がどのくらいかかるのか考えていたら一日が終わっていた。
昔手伝っていたサークルの主宰者なら数年ぶりに連絡があった。当時、2冊目の制作後サークルメンバーが亡くなってしまい、そのまま空中分解したのだが、また本を作りたいという話だった。
最初は興味を持って聞いていたが、詳しく話を聞くとテーマが「死」で、尚且つ亡くなったメンバーへの餞だと言い出して、一気に興味を失う。
生者は死者にたいしてかける言葉をなにも持っていない。ただ口を噤んで各々が処理するしかない。
旧友からも数年ぶりに連絡があった。「あんたちゃんと生きてるの?」と唐突にきて、生き死にが文面によく出てくる日だなと思う。
「ちゃんとは生きてないよ」と返事をする。近況報告をしあって、最後はお互い頑張ろうねと締めくくられた。何の用だったのか分からなかったけど、唐突に俺の安否を気にしてくれたのかもしれない。
元カノからも久し振りに連絡があった。スケジュールが送られてきて、この日とこの日は空いてますよ、と言われる。なにも誘った記憶も誘われた記憶もないけど、予定があえばご飯でも行きましょうと社交辞令を交わして終わった。
さほど親しくない知人からも連絡があった。妙に馴れ馴れしい口調で最近どう?的なことを聞かれる。当たり障りのない適当なことを言って、既読無視して連絡を終えた。
面接を受けた会社からも連絡があった。採用された。働きたくない。
その他にもいくつかの連絡があった。今日は妙に多い。普段はまったく鳴らない通知音が、これまでの鬱憤を晴らすかのように1日鳴りっぱなしだ。
こうも懐かしい面々が一斉に今日を選んで連絡してくるのは、なにかの巡り合わせだろうか。機種変更と共に消えたLINEのログが、異例のスピードで埋まっていった。
どっかで悪い噂でも流されてるのか?
俺は相変わらず。
中学生のときみんなで開けたピアスを、大人になってみんなは塞いでしまったけど、俺だけは相変わらずだよ。
文体が喋り口調だ。今日は変な気分になってるな。酔いに近い。たぶんこの感覚はとても大事だ。雨が降っても、傘を差すばかりがすべてじゃないのかもしれない。